書評紹介【書評】「これが、温かさを持った確かな感情。」

書評をいただきました。
O様、ありがとうございました!

内容は次の通りです。

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タイトル:【書評】「これが、温かさを持った確かな感情。」

「断言しよう。
私はほのぼの日常系が嫌いである。
“ほのぼのした日常を淡々と綴っています”系のアレのことである。
最近では、漫画雑誌やアニメーションで毎期必ず1本はパブリッシュされているアレのことである。

なぜか。

知ったこっちゃないのだ。
ストーリーを彩る彼や彼女のほのぼのした学校生活や家族団欒など、私の知ったこっちゃないのだ。
そんなものをいつまで見ていても、私の締め切りは1日だって縮まらない。
だから日常を綴った作品など、私の心を微動だに動かすことはない。
そう断言できる、

はずであった。

この本を開くまでは。

この本、「ザ・あべ家 うちの嫁さんと楽しい家族!」は、お父さん目線で一家4人の日常が綴られている。ひと月ごとに、その時節柄ならではのテーマを入れつつ、家族の誰かがピンポイントで注目されたストーリーが綴られていく。月の変わり目になると、イラストとなった”嫁さん”が何かしらを訴えてくる。それ以外にイラストはない。

そう、ストーリーは文字通り”綴られている”のだ。

「文字のみで綴られた日常はどれほど退屈なものか」、私は正直そう感じていた。

しかしそれは間違いであった。明確なる得心を以って間違いであったと言い切れる。

“嫁さん”のトリッキーな返し。
やりこめられる”お父さん”の姿を横目に、
変わらずのびのびしている”むすこ”と”むすめ”。

これはかつての私が知っている日常系のアレではない。
いや、日常を綴ってはいるが、読み手にとってこれは単なる日常ではない。
誰も彼もの遠い夢を具現化したようなほのぼの溢れる日常などでは到底なく、誰も彼もがそれを自身の肌で確かに感じ取ることのできる”現実”に他ならないのだ。

家族を持つ者ならば誰しも感じたことのある現実。

だからであろうか。

どこか温かい。
“嫁さん”のどの返答をとってみても温かさとは程遠いはずなのだが、どこか温かい。
それは、この夫婦がやり取りしているものが、僻みなどではなく確かな感情だからではなかろうか。だから温かいのだ。

私は、1ページずつ読み進むごとに、どんどんと、私や私の家族と”あべ家”を重ねていた。

まるで、私が私の家族とこれまでやり取りしてきた感情を、一つずつ思い返し、かみ締めるような心地になっていった。

「おわり」と書かれた最後のページの中央で、”嫁さん”が微笑みながらこちらへ手を振っている。
私は思った。思ってしまった。
「行かないでくれ!」
まるで最愛の人が遠く離れて行ってしまうようなさびしさを、焦りを、私は感じてしまった。
だからだろうか。その”嫁さん”の表情が、少し困ったような、駄々をこねる赤ん坊をあやすような微笑みに、私は感じられて仕方がなかった。

私はあべ家の一員ではないのだ。
そんな当たり前の事実にすら、理解に刹那の躊躇を要するほど、私は引き込まれてしまっていたのだ。

「今日はここらで筆をおいて、連れ合いと一緒に飲むビールでも買って帰ろうか」
この本は、私にそんな気持ちを起こさせるに十分な力を持っていた。
「お酒なんかよりちゃんとお金を入れてよね」
そんな言葉が飛んできそうではあるが構わない。
なぜならそれこそが、温かさを持った確かな感情なのだから。

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O様のご家族はどんな感じでしょうか、
と考えずにはいられない書評、本当にありがとうございました。

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